英検を受験する中高生がやっちゃいけない3つのこと  ②いきなり過去問題集を解かせるな

更新日:5月15日

シリーズ②

いきなり過去問題集を解かせるな




英検サイトから無料の過去問題をダウンロードしましょう

ありがたいことに英検サイトには過去1年間(3回分)の過去問題(問題・解答・リスニング音源・原稿)が載っています。各級の審査基準と合格基準スコアも公開されています。英検CSEスコア(1)とCEFR(2)の対比も示されており英語能力をグローバルな共通尺度で測れるようになっているため、受験者は自身の英語力を継続的に測ることができ生涯学習に役立てることができます。その点で、中高生が英検受験に取り組む意義は大きいと思います。

(1)英検CSEスコア:ユニバーサルなスコア尺度CSE (Common Scale for English) を英検の各級で表記したもの。

(2) CEFR(Common European Framework of Reference for Languages):ヨーロッパ言語共通参照枠と呼ばれるもの。外国語の熟達度を A1、A2、B1、B2、C1、C2(C2が最高レベル)の6段階に分け、それぞれについて、その言語を使って「具体的に何ができるか」という形(Can-do表現)で分かりやすく示している。

無料で過去問題と解答が入手できるので、受験者はダウンロードして試験の傾向を知り対策を立てるべきです。受験直前には時間をはかって全問題を解く事をお勧めします。特に長文読解は時間がかかりますから、時間配分を考えないと問題が解き終わらないということになりかねません。

「一発合格」を目指す人は解説付き過去問題集を購入して徹底研究しましょう

過去2年間(6回分)の全問題と解説をした問題集が各社より出版されています。リーディングの選択肢の意味から、長文の全日本語訳、また解答が本文のどこから導き出されるか、ライティングの解答例など全て勉強してから試験にのぞむべきでしょう。

英検合格は通過点、将来伸び続ける英語学習法を身につけましょう

講師は過去問題集を用いてレッスンを行っています。並行して生徒さんに必要な英単語・英熟語を増やすためのトレーニングと英文法の重要単元の解説に時間をかけて行なっています。生徒さんが理解できていない文法をそのままにしてしまうと、将来必ずつまずく局面をむかえることになります。生徒さんにとって英検合格ラインに何とか到達するだけがゴールではありません。この学習を通じて、将来伸び続ける英語学習法を身につけることを目標としましょう。

「過去問題を解くな」とは?

ここまで、英検の過去問題を最大限利用すべきとお話ししましたが、ここからは過去問題集の導入方法を間違えてしまうとかえって合格から遠ざかってしまうリスクがあることをお話ししたいと思います。

英検の試験内容は、学年で習得する内容に合わせて作成されています。

つまり、自身の学年より上の級を受験するのは無理があるのです。

ところが最近は学年対比より上位の級を受験される生徒さんが非常に多くなっております。

多くの中学や高校では学内で英検受験できるという利便性と、英語習熟度をはかり学習意欲を持たせるために英検受験を推奨しています。同じクラスの友達が「合格した」という話を聞くうちに、お子さんも保護者も英語学習が遅れているのではないかと不安に駆られて安易に英検受験を急ぐ傾向があります。

英検と学年の対比は以下の表を参照してください。(出典:英検サイト)

英検2級は学年との対比で見ると高校卒業程度ですので、高校1年生が受験する場合は高校で習得する文法を先取りして学習しておく必要があります。また、スピーキングでは社会的な問題について意見を求められる質問が出ますので、幅広く時事問題を理解し自分の意見をまとめる力をつけておかなければなりません。ましてや、中学生が英検準2級や2級に合格するためには、高校で学習する内容を先取りして学ぶだけではなく、高校レベルの長文読解力とリスニングの実力が必要となります。


CEFR英検英検CSEスコア学年との対応



まだ学校で学習していない内容を無視して受験させることは、橋の架かっていない川を向こう岸に渡るのに、お子さんに助走もさせずに「ただ目をつぶってジャンプしてごらん。」と言って飛び越えさせるようなものだと思います。飛び越えられたらラッキーですが、失敗して冷たい川に落ちるリスクもあります。

英語が得意でクラスの中でも上位の成績をとっているお子さんにとって、「不合格は大ショック」です。そして十分な対策をせずに何度も受験し失敗した場合「自分には英語力がない。英語なんかキライ」と落ち込んでやる気を失くしてしまう危険性があります。

以前小学6年生で英検準2級を受験するお子さんを担当したことがありました。生徒さんの持っている英語力と合格ラインには大きな開きがあり、それを埋めるためには英単語や英文法の学習時間をとり丁寧に指導する必要がありました。しかしお母様のご意見で受験を急いだ結果「不合格」となりました。その後生徒さんから友達の前で恥ずかしい思いをしたという話を伺いました。本来は小学生なので準2級の不合格を恥ずかしく思う必要はないのですが、生徒さんの気持ちを考えるとかわいそうだったと思いました。

言語習得は過程が大切

「なぜ人より早く高みに到達しようと急いでしまうのか」と残念にも思います。

言語の習得は単なるスキル習得だけではありません。その過程で母国語である日本語との違いや背景にある文化の違い、扱う社会的問題への興味関心の高まり、論理的な思考が育つことにより自分の意見をまとめて表現する能力の獲得など、多くの要素を含んでおりその先に合格の王冠があるわけです。お子さんのペースで確実に英語力を向上させてあげれば、必ず合格者になれるのです。保護者は、焦らずにお子さんが頼れる良いコーチを見つけて、じっくりと英語を学ぶ姿を励ましてほしいと願います。

「い・き・な・り」過去問題を解く弊害とは?

お子さんが自身の学年対比より上位の級を受験されるケースで、「い・き・な・り」過去問題集を解かせるとこんなことが起こる可能性が高いです。

  1. 短文空所補充問題:選択肢の英単語の意味が分からずに不正解を連発することになります。選択肢の意味が理解できたとしても、文章全体の意味が取れないと正解を選ぶことはできません。意味を取るには英文法が絡んでくるわけです。

  2. 長文空所補充問題:空所の前後の言葉を読んだだけでは正解は導き出せませんので、大意を取れないと苦戦することになります。それでも何とか取り組んだお子さんは、頑張り屋さんですね。

  3. 長文内容一致問題:高い確率で大意が取れずについに撃沈してしまうでしょう。本文が何について書かれているのか、筆者がどのような導入・前提を示し、その後どのような展開をしているのか、結論は何かを大まかに掴むことが大意を取るということです。生徒さんからよく聞く言葉が「途中で何だかわからなくなった。」です。つまり、分からない単語が出てきて、長い構文の意味が取れず、集中力も尽きましたという状態です。選択肢の文章の意味を理解することにも時間がかかります。全長文内容一致問題を時間内に終わらせることはかなり難しいでしょう。特に2級レベルでは選択肢は別の英単語や表現に言い換えられていますので、本文にある言葉を探しても正解はできません。

  4. ライティング:リーディングの時間内に配置された、配点の大きなラスボスが待ち構えています。TOPICを理解し、POINTSにある観点で自分の意見をまとめ、説得力ある英語でその理由を2つ挙げなければなりません。しかも、文法の間違えなく、スペルを間違えずに約20分ほどで書き上げなければなりません。回答用紙を前に呆然としてしまうことでしょう。一体どうやったら時間内に全部書き終えることができるんだろうと。。。

  5. リスニング:偶然聞こえた言葉を繋ぎ合わせた上で「勘」で答えを出す方法では、正解は見つけられません。「早すぎてよく聞き取れなかった」「分からない言葉が出てきたので、その意味を考えているうちに問題が終わってしまった」などの感想をよく聞きます。それに対して、「ゆっくりと発音したら本当に意味が取れますか?」「単語の意味が全部分かったら、正解できますか?」と少し厳しい質問を投げ返したいです。他にも聞こえない要素が隠れていませんか?

最後に解答を見ながら答え合わせをします。不正解した問題の解説がないと理解できずに「ただただ難しかった。」という悲しい感想で終わってしまいます。


本来なら、ここからが勝負なのです。どの項目で不正解だったのかを分析し、合格のために何が欠けているのかを見極めことで学習計画を立てなければなりません。しかし、難問を前にがっくりとしたお子さんにはそれは難しいと言わざるを得ません。

お子さんがこんな困難に出会った時に、手を差し伸べて一つ一つの解説を丁寧にしてくれる講師がいかに必要であるかご理解いただけたでしょうか。

コーチがすべきこと

講師は、1〜2ヶ月で受験級に必要な重要な英文法を詰めこむのは生徒への過度の負担がかかりお勧めしません。特に英文法の不定詞・動名詞・比較級・受動態・現在完了形・分詞などの重要な単元は、さらりと説明を聞いただけでは十分理解したと言えませんし、試験で正解を導きだせません。

講師はむしろ時間をかけて学習した英単語と英文法を英検レベルにまで強化し、生徒さんに自信がついてから受験される方が良いと考えています。

無理な受験の弊害の一つで顕著なものに「リスニング・コンプレックス」があります。これは適切なリスニングトレーニングなしに受験し、失敗した多くの生徒さんが抱えることになる症状です。このような生徒さんは「何を言っているのか早くて聞き取れない」という言葉で問題を表現します。しかし多くの場合スピードの問題ではなく、英単語や熟語の欠如、基本的な英文法を理解していないことに起因しているのです。

一方、十分に英単語と英文法の学習を行なっている生徒さんには、リスニングのトレーニングの効き目が確実に表れてきます。リピート→オーバーラップ→シャドーイングとトレーニングの難易度が上がっていっても、十分についてくることができるようになります。さらに良いことは、リスニングとライティング技能の2つともがこのトレーニングによって同時に上達してきます。そのため合格圏内にぐんと近づくことができます。

スーパー生徒さん

今回はいかに生徒さんの実力にあった級の受験が大切かをお話ししてきましたが、最後に講師が担当したスーパー生徒さんの例を紹介したいと思います。

この生徒さんは幼い頃からネイティブの先生に英会話を教わっていたという下地がありましたので、とにかくリスニングとスピーキングが得意でした。中学3年生までに2級を取得し、準1級に何度も挑戦していましたが合格できずに講師のところにきました。

生徒さんの弱点がどこなのかを講師が見極めて、その強化に必要なトレーニングを説明しました。忙しい部活のスケジュールを考慮しながら、学習内容とやり方を具体的に示し学習時間を話し合って決めました。すると、お母様から家庭での学習時間や態度ががらりと変化したとのご報告をいただきました。朝食前の5分間など隙間時間にもアプリで単語を確認したり、部活で疲れて帰ってきても必ずトレーニングを欠かさない様子だと。

自分に欠けている事を知り、合格への道筋を理解し、それに向けて自主的に走り出した瞬間でした。その結果、講師の期待を良い意味で裏切り続けるペースで伸び続け、十分合格ラインを超える力をつけることが出来ました。

英語のスキルトレーニングは、十分に学習し知識を得ている生徒さんが、実践可能で高効果が望める内容でなければなりません。そして具体的な内容とその方法と実施期間が決まっていること。毎回のレッスンのミニテストで実力がついてきていることを生徒さんご自身が実感できるものでなければならないと考えています。

クリスチャンハウス英会話教室では生徒さんが将来も伸び続けるレッスンを提供しております。


次回はシリーズ③「偶然正解した問題をそのままにするな」を掲載します。